川崎市公認事業者向けポータルサイト《Bizloopかわさき》から取材を受けました。
掲載ページは《コチラ》です。

  今回は、宮前区で親子二代に渡って地域に根ざし、地域の住宅事情を知り、人と人とのつながりを大切にしながら快適な住まい作りを提案し続ける、高橋工務店の高橋秀一さんをお訪ねしました。

高橋工務店(宮前区)取材■まずはじめに
「高橋工務店」の事業やサービス内容をお聞かせください。

 宮前区を中心に多摩区や麻生区など、周辺地域で新築やリフォーム、メンテナンスなど木造住宅に関する設計・施工を行っている工務店で、「棚一枚の取り付けから」をモットーに住まいのことなら何でも対応することを心がけています。
 私の父の五蔵が川崎市で創業し、昨年でちょうど50年を迎えました。
 私が現場を、弟の弘幸が渉外や広報などを、私の妻の由美が経理をと、家族でそれぞれ担当を分担しています。

■「地域の大工さんの良さ」を教えてください。
 ひとつは、「すぐに駆けつけられる」ということがあると思います。
 例えば、雨漏りをしていたらお客様は一刻も早く雨漏りを止めたいでしょうし、私たちからすれば「そのとき」じゃないと原因がわかりづらいので、雨漏りしている時に見なければなりません。ですので、すぐに駆けつけられるのは、地域の大工ならではだと思います。
 また、「住む人が快適に暮らす提案ができる」ということもあります。例えば「棚を取り付ける」といっても、「誰が主に使い、何を乗せる棚なのか」によって素材や強度を考えなければなりません。その方の家族構成や生活スタイルなどを良く知る地元の大工だからこそ、「使いやすい棚」を提案できるのだと思います。
 基本的に「良い仕事は、近い場所で」と考えています(笑)。

高橋工務店(宮前区)取材■家業を継がれたきっかけは?

小さいころからモノを作るのが好きで、材木の切れ端を拾っていろいろなものを作っていました。
3歳くらいのときにはすでに、秋田の父の実家で祖父と一緒に風呂に入っているとき「大人になったら、おっきい家を作るんだ」と話していたそうです。
結果として家業を継ぐ形になりましたが、父に反対されていたこともあり、もともとは継ぐつもりがなかったのです。
大学を卒業後には設計事務所に入っていましたし、その後に大工になろうと思っても、よその工務店でお世話になっていました。親父も私も、ちょっと意地になってましたし(笑)。
でも、少しずつ父の現場も手伝うようになり、最終的には家業を継ぎました。
今では、設計事務所での経験も活きていると思っていますよ。設計図はいわば「家のカルテ」であり、その家を見たことが無くても、設計図を見るだけでだいたいの現状はわかるんです。

■家業を継がれて苦労されたことや嬉しかったことなどありますか?

 仕事は、どんな仕事でも楽ではないのは当たり前です。ほかの人から見ればたいへんそうに見えても案外楽だったりすることもありますし、逆に楽そうだけどたいへんということもあります。苦労を苦労と思わないのが仕事なのかなあと思います。
 嬉しいのは、施主様から「想像以上によかった」と言われること。施主様一人一人とは毎回真剣勝負で臨んでいるだけに、「ありがとうございました」と感謝されるときが一番嬉しいですね。
 やはり、施主様によって異なる生活や習慣を考え、直面している仕事以外の部分でも施主様の心を読み、千差万別のご希望や注文に答えを導いていくという基本を大切に仕事したからこその嬉しさなのかなあと思います。
 また、建材メーカーのトステムが主催する「トータルハウジング大賞」で、4年連続で表彰いただけているのも、「お客様の立場になって考える」というご提案によって、ご満足いただいているからこそと思っています。

高橋工務店(宮前区)取材
■今後の事業展開や夢をお聞かせください。
 家は「人が生きる」ということの基礎であり、家が快適でなければ質の高い生活とは言えません。
 シックハウスやハウスダストなどの対策を施した建材を使った、安全で健康で体に優しい家を作っていきたいですね。
 また、地球環境を脅かすCO2を削減するには、企業や団体の努力もさることながら個人個人の努力が重要といわれています。ですので、高気密高断熱住宅を多く手がけていきたいです。高気密高断熱住宅は冷暖房効率を上げることで電気使用が抑えられ、結果的にCO2の排出を低減しエコにつながるのです。電気代の節約にもなりますし(笑)。

■川崎市の良いところについて教えてください。
 私が小さいころの川崎市は「スモッグの街」「公害の街」として卑下されてもいました。
 でも、環境問題にしっかり取り組んでくださったおかげで、今は青空が戻ってきました。
 さらにエコライフに貢献するために、川崎市が呼びかけて電気工事会社や工務店などを核として「川崎市新エネルギー振興協会」という組織が2007年に発足しました。これは、太陽光発電やバイオなど新エネルギー産業の基盤確立と普及促進、断熱サッシや高気密高断熱住宅などによるエネルギー使用の効率化などを目的にしています。
 また、今年2月に開催された「川崎国際環境技術展2009」は、行政が主体となって組織運営した珍しい国際環境展なのだそうです。
 このように、「過去の痛み」を知る街だからこそ、環境問題にしっかり取り組むことができるのが良いところだと思います。

■川崎市のおすすめスポット、穴場スポットについて教えてください。
 幼いころの思い出がたくさんある生田緑地です。
 小学生のころは、家にある大きな釘を持って二枚貝や巻貝などの化石を拾いに行っていました。この近所には「潮見台」という地名が残っていることからも、このあたりは海だったのですね。
 また、川崎には小高い丘が多く、富士山がきれいに良く見えるのもいいですね。富士山が見えるということは大きな建物がないということですから、それも川崎の良いところだと思います。

高橋工務店(宮前区)取材
■川崎市に期待することは何かありますか?
 活気のある、誇りのある街にしてほしいですね。川崎は東京と横浜にはさまれ、政令都市でありながらマイナーな感じがします。東京と横浜にはさまれているだけに、両都市に負けない活気があり、誇りを持てる街になってほしいです。
 やはり、「スモッグの街」としてつらい思いをしましたが、それを克服したことを誇りにしてもいいと思うのです。
 そして、エコの観点からも、モノを捨てない、モノを大切にするという気持ちを川崎の皆さんが育むような行政施策をお願いしたいと思います。
 そのためにお役に立てることがあれば、私たちも力になりたいと思います。